M&Aインタビュー
#1「ウェブリオ株式会社」

2021.02.17

 オンライン辞書サービスの担い手として圧倒的な地位を確立している、ウェブリオ株式会社。2019年秋にM&Aに初挑戦して以降、多岐に渡る事業を購入されています。M&Aにおける企業としての目的や今後の展望について、ご担当者様にお話をお伺いしました。

M&Aを活用すれば、新たな領域に進出する基盤が一瞬で手に入る

—— 御社がM&Aを始められたのは2019年の秋頃とのことですが、その目的についてお聞かせください。

 弊社は辞書サービスとオンライン英会話サービスの二つの事業を柱としています。ここからさらに第三の柱を打ち立てたいと考えていますが、ゼロから新しい事業を一定の規模にまで育て上げるには、最低3〜5年と長い時間がかかります。
 このスピード感は、弊社が企業として目指しているものとは合致しません。

 そこで新しい事業を一から作り上げるのではなく、既に仕組みが出来上がっているものを手に入れようと考えました。M&Aを活用することで、新たな領域に進出するためのベースとなるものが瞬時に手に入ります。

 そういった意味では、会社の経営において、M&Aは非常に重要なツールとなります。我々も活用するステージにようやく立つことができたのではないかと考えています。

—— 今回、数ある案件の中から英会話比較サイト事業を買収したのはどのような理由からでしょうか?

 当社はもともと個人向け、学校向けのオンライン英会話サービスを運営しておりますが、業態も価格帯も様々です。子供向けの教室や駅前留学的なものなど、いわゆる店舗で実施するタイプのサービスや、コーチング英会話などの多様な英会話サービスが存在しています。

 当社は会社の理念として”人の選択肢を広げる”ことを掲げており、本来は自社でいろいろな業態の英会話事業を展開してみたい気持ちもあるのですが、さすがに全ては困難です。

 しかし、英会話比較サイトという形でユーザーに合ったサービスを紹介するということであれば、インターネットという自分たちにとって慣れた手段を用いてユーザーに英会話の選択肢を広げる事業を展開できます。

 さらに、多くの英会話教室やユーザーとの接点を持ち学びを得ることで、自社で運営する英会話サービスにもプラスの効果をもたらすことができます。英会話比較サイトという新しいビジネスへの参入と、既存事業への間接的な貢献という2つのメリットを同時に得ることができるという点が今回の狙いでした。

 特に今回購入した忍者英会話は、コーチングスクールを比較し、教室選びを支援するサービスです。コーチング系の英会話は伸びている市場ですが、サービスを運営する側だけでなく、そのお手伝いをする側も、事業として魅力的であり、市場の成長とともに事業の成長も期待できると考えております。

 新たな領域に進出するためのベースが瞬時に構築できることはM&Aの大きなメリットです。今回、まさにそのメリットを享受できたと感じております。

—— 買収後、どのような変化がありましたか?

 新しい事業はもちろん、新たな顧客との接点、新しいビジネスチャンスの発見など想像以上に大きなメリットを得ることができました。

 弊社はフィリピン系のオンライン英会話事業領域に関する知見はありましたが、一方で、コーチング系の英会話事業という領域に関してはまったく接点がなかったために、どんなビジネスが今後期待できるのか、ほとんど情報を持っていませんでした。

 しかし、今回忍者英会話を買収したことにより、20社以上の取引先と繋がることができ様々な情報を得られただけでなく、取引先様と別の新しいビジネスに取り組むようなチャンスにも恵まれています。ビジネスの知識の収集や、信用を含め、これらをゼロから自分たちだけで集めるとなると、最低でも3年はかかります。
 その3年を2ヶ月程度に短縮できるM&Aのメリットを、買収後、強く実感しています。

M&A仲介業者は、ただ間を取り持つだけの存在ではない

—— 数あるM&A仲介業者の中から、弊社を選ばれた理由についてお聞かせください。

 仲介業者を利用するメリットの一つは、あらかじめスクリーニングされた案件を紹介してもらえることにあります。

 初めて事業を売却する側に立つと、往々にして買い手側と目線がずれてしまうものですが、仲介業者はそれを是正してくれます。そのため、仲介業者を経由してきた案件は圧倒的に質がいいのです。スピードアップのためにM&Aを活用しているのですから、良い案件に出会う確率が上がるのであれば、手数料を払う価値は十分にあります。
 特に御社はそのスクリーニング能力が非常に高く、「今回もいい案件を紹介してもらえるだろう」と安心することができます。

 情報を整理してもらえることも、仲介業者を通すメリットの一つです。M&Aは、案件に関する資料だけでも約30〜40種類あり、しかもそのすべて目を通さなければなりません。御社はそれらに事前に目を通して重要度を判断し、情報を整理してまとめた状態で提供してくれます。
 それだけでも時間を節約できる点で段違いですが、御社はそこに仲介役としての意見を付け加えて、新たな気付きを与えてくれます。非常に頼りになるなと感じていました。

—— 初めてM&Aを行うにあたり、不安になられたことや心配されていたことはありましたか?

 正直なところ、本当に信頼してよいのか心配ではありました。そこで御社に仲介役に入っていただいたことで、非常に安心できたなと感じています。

 事業を買収する際の最低条件は、三つあります。まず事業内容に特徴があること、次に業績もしくは事業KPIの伸びしろが定量的に期待できること、最後に代表者の方が魅力的であることです。どんなに事業の中身がよくても、代表の方に魅力を感じられないと、不安になって購入意欲が下がってしまいます。

 これは仲介業者でもまったく同じで、不安になるような相手を介していては、安心して取引できません。例えばなにか良くないことが起きた時でも、御社はすぐに連絡をくれます。「隠そうと思えば隠せるのに、正直に言ってくれるんだ」と逆に信頼感が上がり、不安が払拭されました。

—— 直接交渉のご経験もあるとのことですが、M&Aにおける仲介の必要性についてどのようにお考えでしょうか?

 売買の交渉を進める上で、仲介業者は重要な役割を担っていると考えています。売買の当事者は、どちらも相手には直接言えない本音を絶対に持っており、「本当はもっと高く売りたいんだけど…」という本音をこぼせる相手が間にいるということには、大きな価値があると感じています。

 取引だけでなく、コミュニケーションの仲介役としても機能し、本音を噛み砕いたり柔らかくしたりして伝えてくれるので、交渉の中で誤解が生まれにくくなるのです。

M&Aは企業として社会に価値を提供するためのツールである

—— M&Aにおける今後の方針についてお聞かせください。

 M&Aにおいてまず重視しているのは、弊社の「インターネットを通じて人の選択肢を広げる」という企業理念に合致する事業であるかということです。

 人が選択をする瞬間はたくさんありますが、特にライフイベントでは重要な選択をします。就職や転職、学校選びといった場面に、これから先は独立や老後という場面も加わるでしょう。これらに対して、会社として価値を提供したいと考えています。

 ある程度、大きな事業であることも重要です。100万円や1000万円という規模感ではなく、1億円以上の案件を検討しています。1000万円の案件を10件買収するほうがリスク分散のためにはなるのですが、利益率の観点に立つと1億の案件を1件買収するほうがよいと考えています。

—— 具体的にどのような事業を検討されていますか?

 弊社の「インターネットを通じて人の選択肢を広げる」というミッションに合致する事業の中でも、人生において重要な選択をする仕事や教育などの市場領域には、非常に注目しています。

 また、現在はメディアという領域にも注力しています。インターネットを活用して、正確かつ最新の情報にすばやくアクセスできるようになれば、人の選択肢は広がっていくでしょう。

 オンラインでの学習ツールを提供することも視野に入れています。学習領域だけでなく、人材分野などを通じて人の選択肢を増やせるようなサービスの育成を強化していきたいと考えています。メインの事業である辞書サービスは社会人中心に1ヶ月あたり約3200万人のユーザーに活用していただいています。また学校向けオンライン英会話事業は多くの中学生や高校生が顧客です。

 学生の皆さんには学校を卒業して社会人になってからも、社会人の皆さんには仕事の現場などで活用してもらえるようなサービスを作り出すことができたらと考えています。

—— 最後に、これからM&Aに挑戦しようという方に向けてアドバイスをお願いいたします。

 まずは無理のない範囲で挑戦するのがよいと思います。弊社も、失敗しても影響のない小さな案件からスタートして、少しずつ経営へのインパクトが大きな案件へとスケールアップしていきました。現在、上場企業でもM&Aは盛んに行われていますが、ほとんどの場合は失敗していますし、買収後すぐは成否すらわかりません。買収してから3年ほど経たないと、成功したのか失敗したのかすらわからないのです。

 これは例え話ですが、野球の本をどれだけたくさん読んでも、野球がうまくなることはありません。同じように、M&Aの本を読んでもM&Aはうまくなりません。ほぼ失敗するとしても、実際にプレイしてみるしかないのです。

 今後、会社を大きくする必要性は特に感じていないし、100年後も今の売上のままでいいというのなら、あえてM&Aをする必要はないでしょう。そうではなくて、会社として世の中に価値を提供していきたいと考えているのならば、M&Aに挑戦さぜるをえません。M&Aは現代の経営にとって、それほど必須のツールになっているのです。

▼ウェブリオ株式会社 公式サイト
https://www.weblio-inc.jp/

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Originally posted 2021-01-11 22:39:23.