M&Aにおけるエスクローのメリット・デメリットとは?仕組みや費用についても紹介

2021.02.17

日本ではまだまだ馴染みの少ない仲介サービスとして認知されている「エスクロー」。

海外では公的機関によって制度が整備されている国も存在しますが、日本では制度や規制が確立されていません。

本記事では「そもそもエスクローとは?」という話と共に、メリットやデメリット、仕組みや費用などについて紹介していきます。

エスクローとは?

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エスクローとは、買い手と売り手による取引の間に信頼できる第三者を仲介させて、取引の安全性を担保するサービス会社です。

M&Aによる売買契約とは別に、エスクロー契約で金融機関を第三者に介入させることで、書類のやりとり、資金の預かり、名義調査、名義保険、登記業務、決済業務などを中立の立場として補助するサービスということになります。

エスクローはもともとフランス語で「巻物」という意味合いを持ち、これが権利譲渡証書などの書類やお金をサービス会社に預けて、手続きが終わるまで安全に保管してもらうという意味になったというわけです。

現行法によるエスクローのやり方

冒頭でも触れたように、日本ではエスクローに関する法規制がありません。

そのため、日本でのエスクローは「信託契約」を利用する方法と「銀行口座」を利用する方法があります。

信託契約

信託契約をすることで、取引によって発生した代金はエスクロー・エージェント(受託者)に預託され、信託財産として管理されます。

そして、代金を引き渡すための条件が満たされた時に初めて売り手に代金が渡されます。

流れだけ説明すると短い文章になりますが、その手続きは非常に面倒な内容となっており、法定記載事項も多く契約書が長文になりがちです。

しかし、信託財産として預託することで、倒産した場合のリスクから隔離できる「倒産隔離」が機能するというメリットがあります。

銀行口座

銀行口座を利用する場合、エスクローエージェント(受託者)、買い手売り手名義のエスクロー口座を用意して送金します。

信託契約時と同様、受託者に管理され、代金を引き渡すための条件が満たされた時に初めて売り手に代金が渡されるのです。

信託契約に比べるとコストが抑えられ、迅速なエスクローが実現できますが、倒産隔離は不十分となってしまいます。

M&Aにおけるエスクローの仕組みや費用について

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エスクローの仕組みとして、以下のようなニーズが挙げられます。

  • 取引による代金や譲渡物などを直接相手に交付せず、第三者に預けられる
  • 定めた条件を満たさない限り、預けられた目的物は相手に渡されない

日本でも活用されている代表的なエスクローは「ヤフーかんたん決済」です。

サービスの流れとして、落札者はエスクロー会社に代金を支払い、出品者によって送付された商品が落札者に引き渡されたことが確認されれば、エスクロー会社から出品者へ入金が行われます。

この仲介が機能することによって、代金を支払ったのに商品が届かない、もしくは商品を送ったのに代金が支払われないという、取引でのトラブルを防いでいるということになりますね。

費用は取引額の約1%

エスクローの費用は事業所によって異なりますが、手数料として約1〜2%かかると言われています。

大規模な取引であればあるほど、安全性を考慮したい買い手が利用する手段の一つと言えるでしょう。

M&Aにおけるエスクローのメリット・デメリット

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では、エスクローを利用する上でのメリット・デメリットはどのようなものがあるのでしょうか?

いくつかご紹介していきます。

エスクローのメリット

エスクロー最大のメリットは、万が一トラブルが起きた場合に取引の保全ができる点にあります。

買い手のメリット 代金が売り手に渡る前の段階で取引内容の調査や確認、保証がされるので安心
売り手のメリット 代金がちゃんと支払われるか?をエスクローによって保証できる

あまりにもM&Aによる契約内容と異なる点が多い場合には契約そのものを決裂させることも可能となるため、絶対に失敗できない大きな取引の場合には安心できるサービスということになりますね。

エスクローのデメリット

エスクローはより安全な取引を行うにあたって非常に有効な手段となりますが、手数料が発生してしまうというのが難点です。

小さい規模でのM&A案件では費用が上乗せされてしまうため、利用されるケースは少なくなっています。

また、M&A契約とは別にエスクローによる手続きや支払い条件を進める必要性が出てくるため、買い手と売り手の手間が増えるという点もデメリットと言えるでしょう。

M&Aにおけるエスクローの事例

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M&Aによる代金支払い方法の一つとして、一部の対価を一定の条件が成立したことを条件に支払う「アーンアウト」という方法があります。

売り手が提示した通りの業績が確認できるまで、買い手は見合った対価を支払わないという約束ができるということですね。

主には大企業のM&Aで利用される事例が多く、その場合追加で支払うための費用はエスクロー口座に入金され、アーンアウト条項が満たされてから対価が売り手に支払われます。

例えば、収益の増減が環境によって左右されやすい建設業や農業などは、買い手としても悩みやすい案件の一つです。

仮に契約時の収益が難しくても、翌年から収益の増加が見込めると判断しているのであれば、エスクローを利用した条件払いによってリスクを軽減することができます。

このようにM&Aによる契約が成立した後の損害対応として、買い手と売り手でしっかり交渉を進めることが重要となるでしょう。

まとめ

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今回は、エスクローの仕組みを踏まえながら、メリットやデメリットについて紹介してきました。

まだまだ日本では馴染みのないエスクローですが、今後も拡大を続けるM&A業界において、より安全性を持たせることのできる方法として理解をしておけばさらに戦略が広がります。

正しく売買が行われることはもちろん、万が一の損害を視野に入れて交渉を進めるよう心がけていきましょう。

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Originally posted 2020-12-29 15:29:42.